普段、心理検査を実施していると、「何を考えているか全部わかるんですか?」「これで診断がつくんですよね」という質問をいただくことがあります。
心理検査でこころの様相はわかっても、実施者(心理士)は魔法使いでも超能力者でもないですし、レントゲンのように「こころ」を映し出すこともできませんので、その方のこころそのものや何を考えているのかまではわかりません。
心理検査でわかるのは、その方の性格傾向や特性、ご本人が考えていけるといいテーマや課題です。そのような性格や行動特性、こころの状態を客観的・間接的な方法で測定し、得られた数値や情報からその人の人となりを理解するものが心理検査と言えます。
そして最も大事なことは、「ご本人の困りごとの原因と対応(対策)」を知っていただくことにあります。どうしていけばより良く生きていけるか、これから身につけたい工夫や対策は何か、を知ることにあると考えます。そのため、心理検査のみで診断がつくものではありません。
例えば、知能検査でIQ○○という数値がわかってもその方の問題が解決されるわけではありませんよね。数値の裏にある困りごとの原因と対応を知ることが大切なのです。
当法人では多角的で総合的にこころを理解していくことを重視しているため、いくつかの検査を組み合わせて実施しています。それゆえ、受ける回数や時間を多くとらせて頂いております。自己理解やこころの成長が期待できます。こころの問題を抱えた場合、自分でも何が問題か、なんでそうなってしまったのかが分からず困ってしまうことが良くあります。困ったときには心理検査もご活用下さい。
公認心理師・臨床心理士 井上