北参道こころの診療所でございます。当院は、令和3年4月1日に開院し、まもなく開院1年を迎えます。
2022年2月現在、非常勤の医師も含め7名の医師と2名の心理士で、診療を行っております。
コロナ禍で、働き方や学校生活が大きく変わりました。環境の変化は身体だけでなく、「心」にも大きく影響することがあります。コロナウイルスの影響だけでなく、職場や学校での人間関係、勉強や仕事のプレッシャーなど、理由は様々だと思います。
しかし「つらい」と感じていても、受診していいのだろうか?と悩んでしまう方や、どの程度の症状になったら受診するタイミングなのか分からない...とお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回のブログでは、心療内科の受診について、院長の庄司剛先生に話を伺いました。
◆心療内科の受診について
―受付で対応していると、はじめて受診される患者様の中には、診察でどのような事をお話したら良いかわからないという方も多くいらっしゃる印象です。予約を取る際や問診票など、事前にどんなことを伝えてもらうといいでしょうか?
庄司先生:まずは何に一番困ったり、悩んだり、苦しんでいるのかをお伝えいただければ、そこから相談ができると思います。
―ご自身で受診の必要性を感じていても「なかなか踏み切れない」「受診することが不安」という方もたくさんいらっしゃると思います。
庄司先生:家族や友人にも打ち明けられない、うまく相談できないという方もいらっしゃいます。かえって日常生活につながりのない専門家の方が話しやすいこともあるかもしれません。まずは人と相談して考えを整理することが役に立つ場合もあるので、気軽にいらしてみてください。
―「こんな症状で受診していいのでしょうか?」と質問される方も多くいらっしゃいます。受診するタイミング(サインなど)があれば教えてください。
庄司先生:睡眠の障害は最初に出てくる症状の一つですので、最近眠れなくなったという方は早めの受診をお勧めします。
―診察の際はどのような情報を重視して聞き取っていますか?
庄司先生:その人の感じ方、考え方、人との付き合い方が現れるようなエピソードを具体的にうかがえると助かります。「仕事のストレス」と一言で言っても、具体的にどんなことが起こったのか。その時、何を感じたのかをうかがいたいです。
―治療法にはどのようなものがありますか?
庄司先生:大きく分けて薬物療法と精神療法があります。薬物療法に関しては当院のホームページ他を参照してください。
広い意味での精神療法は、一般診察での支持的精神療法も含む、会話による治療的な介入のことです。
もちろん中にはもっと専門的な、認知行動療法、精神分析的精神療法、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)、森田療法、交流分析、ゲシュタルト療法などさまざまな種類の精神療法があります。一般診察ではこれらの中からいくつかの考え方を用いた助言や指導を行う場合もあります。
―当院では「主治医制」となっていますが、その理由や主治医制の良い所(メリット)を教えてください。
庄司先生:その患者さんと継続的にお会いして時間経過を見ていかないとわからないことはたくさんあります。診断すらある程度の時間が必要なこともあります。また長く付き合うことで患者さんとの人間関係ができてくるので、その信頼関係の中でしか話せないこともあります。
※主治医制...初診で診察を担当した医師が、2回目以降の診察も「主治医」として診察を担当すること
次回4月のブログでは、治療法の一つである「精神分析的療法」についてご紹介します。
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院長の庄司 剛先生の紹介です。
―精神科医師になることを選んだ理由は?
庄司先生:もともと人と向き合い、触れ合うのが好きでした。医者を目指すに際し、精神科医ならば患者様と深いところで向き合えるのではないかと思ったことが一番の理由です。哲学や心理学の本が好きでよく読んでいましたし、精神分析を題材にした作品を数多く手がけている筒井康隆の小説も好きでした。
―得意分野は?
庄司先生:精神分析の勉強を中心にしています。グループワークなどにも興味があります。
―庄司先生が患者さんとの関係や診察をするうえで大切にしていることは?
庄司先生:話していて話を聞いている自分(医師)が本当に感じていることを無視せず、自分が感情的にどう反応しているのかを自分で観察することです。
記事編集:北参道こころの診療所 医療事務部 藤田・石井・森口・大串